大人になった今、子どもの頃に読んだ物語の世界をもう一度旅する。
そんな体験ができる展覧会「エルマーのぼうけん展」へ行ってきました。『エルマーのぼうけん』は私の大好きな児童書のひとつ。童心をくすぐるだけでなく、大人になった今だからこそ物語の世界を深く楽しめる展覧会でした。
この記事では会場の雰囲気や見どころを展示を紹介します。遠方で行けなかった人や、予定があわず行けなかった人が体験できるようにレポートします。
最後まで楽しんでもらえたらうれしいです!
・エルマーのぼうけん展の内容
・大人ならではの、エルマーのぼうけん展の楽しみ方
・展示を見終わった後の余韻や楽しみ方
この記事を書いた人

sui
フリーライター
・年間100冊以上を読む読書好き
・出版・書店関連勤務13年以上
・旅先は国内27都府県、海外20か国以上
冒険心をくすぐる児童書『エルマーのぼうけん』
『エルマーのぼうけん』はアメリカの作家 ルース・スタイルス・ガネット による児童文学です。少年エルマーが捕らえられた竜の子を助けるため、未知の島へ冒険に出る物語で、チューイングガムが大好きなトラや角が汚れてしまったワニなど個性豊かな動物たちと出会いながら、知恵と勇気で困難を乗り越えていきます。
シンプルながらユーモアのある物語で、小学生の頃の国語の授業で読んで以来、好きな一冊です。授業ではエルマーの冒険の続きを自分たちで考える課題もあり、わくわくしながら物語を考えていたのを覚えています。
大人になってからも読み直ましたが、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同様に何回でも、いつになっても楽しめる冒険の物語でした。
福岡『エルマーのぼうけん展』開催概要
エルマーのぼうけん展は、2023年の東京・立川を皮切りに、兵庫県・明石市を巡回し、最後に福岡で2024年7月16日から開催されました。巡回場所が3か所と少なかったのですが、福岡でみることができたのはとても嬉しかったです。
| 名称 | エルマーのぼうけん展 |
| 期間 | 2024年7月16日(火)~8月25日(日) |
| 時間 | 9:30~17:30 |
| 会場 | 福岡アジア美術館 7F企画ギャラリー(福岡県福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル) |
| 入場 | 一般1,400円(1,200円)、高大生1,000円(800円)、小中生700円(500円) |
| URL | エルマーのぼうけん展/福岡アジア美術館 |
福岡アジア美術館は福岡市営地下鉄「中州川端駅」に直結しているリバレインセンタービル内にあるので、アクセスしやすい美術館です。特にエルマーのぼうけん展が開催されていたのは7月だったので、暑さが厳しい時期でしたが訪れやすかったです。
大きなりゅうがお出迎えする展覧会の入口

福岡アジア美術館はアジアの近現代美術を専門に扱う美術館です。絵画や彫刻だけでなく、写真や映像、インスタレーションなど幅広い表現を紹介しており、アジア各国の多様な文化や社会背景に触れられるのが特徴です。
福岡はアジアからの観光客も多く、アジアの交流拠点となることを目指している都市でもあります。そのため、アジアの多様な文化や表現を発信するこの美術館は、地域の特性とも深く結びついています。
ちなみに7階フロアには、アートカフェやミュージアムショップ、キッズスペースもありました。

会場に着くと、受付カウンターの前で、大きなりゅうがお出迎えしてくれました。フォトスポットにもなっていて、入場前から多くの人が足を止め、次々と写真を撮っていました。
今回の展示のメインビジュアルにはMy Father’s Dragonと書かれていますが、『エルマーのぼうけん』の原題だそうです。
物語の世界に入り込む体験型展示

入場券を購入して展示室に入ると、いよいよ『エルマーのぼうけん』の世界が広がります。
早速、ワニの背中をジャンプして川を渡るシーンへ。目の前に現れるワニたちを前に、エルマーと同じように一歩踏み出すような感覚になります。展示は立体的に作り込まれていて、ただ見るだけでなく、自分が物語の中にいるような臨場感があるのが印象的でした。
子どもだけでなく、大人も楽しんでワニの背中をジャンプしていました。

続いて、2作目『エルマーと16ぴきのりゅう』で描かれる洞穴に捕われた15匹のりゅうを表現している展示がありました。光と音で騒ぐ様子が表現されていて賑やかな雰囲気でした。りゅうはそれぞれ色や柄が異なり、原作を再現されていました。


130点の原画で再発見する『エルマーのぼうけん』の世界

もともと『エルマーのぼうけん』の挿絵は、少し立体感のある描写で陰影があり、少しこわい印象があり、あまり得意ではありませんでした。動物の目の印象もあるかもしれません。
けれど、今回展示されているのは、アメリカ・ミネソタ大学図書館のカーラン・コレクションが所蔵する約130点の原画。実際に目の前で見ると印象は大きく変わり、細やかな線ややわらかな色づかいの美しさに思わず見入ってしまいます。

表紙や地図の鮮やかな色彩、丁寧に描かれた挿絵の数々は、70年以上前の作品とは思えないほど状態の良いものでした。さらに、ダミー本や制作資料なども展示されており、物語が生まれる過程に触れられるのも魅力です。

子どもの頃に怖いと思っていた絵は、よくみるとエルマーりゅうはかわいらしい顔をしていました。
原画には、物語の中のフレーズも添えられていて、「こんな場面あったなぁ」と懐かしく思ったり、「こんなシーンあったっけ?」と新しい発見があったりと、記憶をたどるように楽しめました。
本の一部としてではなく、展示として一枚一枚をじっくり見ることで、物語の細部までくっきりと浮かび上がってくるような感覚に。読み流していた場面にも改めて目が留まり、物語の解像度がぐっと上がるような体験でした。
展示室で楽しめる3つの絵本コーナー

展示室内には、絵本を自由に読めるコーナーが3か所も設けられていました。アジアのぼうけんえほん、アジアのとうぶつえほん、ぼうけん図書館です。
アジア美術館らしい展示として印象的だったのが、「アジアのぼうけんえほん」や「アジアのどうぶつえほん」のコーナー。アジアのさまざまな国の絵本が並び、福岡アジア美術館でのみ設置されているコーナーかもしれません。


そして展示の最後に設けられているのが「ぼうけん図書館」。中でもここが一番規模が大きく、大人も子どもも思い思いに絵本を手に取り、絵本を読んでいました。展示で高まった気持ちのまま、実際に物語に触れられる、心地よい余韻の残る空間です。

冒険の余韻を持ち帰る、にぎやかなミュージアムショップ

ミュージアムショップも人でにぎわっていました。
りゅうのぬいぐるみやウォータードームといった立体グッズをはじめ、エルマーがぼうけんに持って行ったキャンデーや歯ブラシまで並び、見ているだけでも楽しくなるラインナップです。『エルマーのぼうけん』の世界観をそのまま持ち帰れるような、遊び心のあるアイテムがそろっていました。


さらに、原画をあしらったヴィンテージ風のカップ&ソーサーやバッグ、カラフルなTシャツ、ステーショナリーなどもあり、お土産選びもつい長居してしまいます。
まとめ|物語の旅は終わらない
エルマーのぼうけん展は、子どもの頃に読んだ物語の世界を、大人になった今あらためて旅し直すような体験ができる展覧会でした。体験型の展示で冒険の中に入り込み、原画で物語の細部に気づき、絵本コーナーであらたな冒険の物語を旅することができます。
子どもの頃はただ楽しかった冒険も、大人になってから触れると、エルマーの知恵ややさしさに気づかされ、より深く味わえるのが印象的でした。展示を見終えたあとには、もう一度本を開きたくなる、そんな気持ちも自然と湧いてきます。
遠方で訪れることができなかった方にも、この記事を通して少しでもその空気感や楽しさが伝わっていたらうれしいです。物語の旅は、ページを閉じてもまだ続いていくのだと感じさせてくれる展覧会でした。
