「鹿児島睦 まいにち」展が福岡県立美術館で開催されました。陶芸家でありアーティストである鹿児島睦さんの活動の場は日本だけでなく海外にも広がっています。そんな鹿児島さんの作品が福岡県立美術館で見られるとのことで訪れてきました。その様子をレポートします!
・福岡県立美術館で行なわれた「鹿児島睦 まいにち」展の様子
・鹿児島睦さんの作品の魅力
・鹿児島睦さんの関連書籍
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sui
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「鹿児島睦 まいにち」展とは

「鹿児島睦 まいにち」展についてご紹介します。鹿児島睦(かごしま まこと)さんは、日本を代表する陶芸家でありアーティストです。彼の作品は動植物をモチーフにしたデザインが特徴です。「まいにち」展では、鹿児島さんの陶芸作品だけでなくテキスタイルやファブリックなどの作品が一堂に会し、彼の世界観を存分に楽しむことができます。
鹿児島睦(かごしま まこと)
1967年福岡県生まれ。美術大学卒業後、インテリア会社に勤務しディスプレイやマネージメントを担当。
2002年より福岡市内にあるアトリエにて陶器やファブリック、版画などを中心に制作。
日本国内のみならず近年では世界中にファンが広がり、L.A.、台北、ロンドンなどで個展を開催。
今回の「まいにち」展は鹿児島さん初となる大規模展です。
兵庫県
市立伊丹ミュージアム
2023年6月30日~8月27日
東京都
PLAY! MUSEUM
2023年10月7日~2024年1月27日
静岡県
佐野美術館
2024年2月24日~4月14日
福岡県
福岡県立美術館
2024年4月24日~6月23日
台湾
福岡華山1914文化創意業園區西一館
2024年9月27日~10月6日
今回レポートするのは鹿児島さんの出身地である福岡での展覧会です。
鹿児島さんの作品は、日常に色どりを添えてくれるようなデザインで、多くの人々に親しまれています。陶器の器やカトラリー、テキスタイルなど、その幅広い作品は見る者の心を和ませ、毎日にちょっとした幸せをもたらしてくれます。
「鹿児島睦 まいにち」展の概要と混雑状況

「鹿児島睦 まいにち」展は、福岡県立美術館で開催されていました。この美術館は天神駅から徒歩約13分、天神北バス停から徒歩約9分です。須崎公園に隣接していてとても静かな環境にあります。(私が訪れたとき残念ながら公園は改修中で入ることができませんでした)
鹿児島さん初の大規模展覧会は、「あさごはん」「ひるごはん」「ばんごはん」「さんぽ」「おやすみなさい」など、日々の暮らしのシチュエーションごとに、器やファッション、インテリアなどの作品が並びます。器は約200点も並んでいたそうです。また、鹿児島さんが作品を制作する際の過程も、動画やパネルなどで紹介されています。さらに作家である梨木香歩さんが、鹿児島睦の器にインスピレーションを受けながら書き下ろした物語も紹介されています。
展覧会の混雑状況ですが、週末や祝日は混んでいるようですが、私が訪れた平日は人が多くなく、ゆったりと鑑賞できました。

ちなみに、写真撮影はOKでした。ただし、以下のような注意がありました。
写真撮影について
写真撮影はOKです。
展覧会に貼られていた貼り紙
作品をバックにした記念撮影はご遠慮ください。
カメラが落下し、作品が破損する恐れがありますので作品真上からの撮影はご遠慮ください。
近年、日本でも写真撮影OKな展覧会が増えて嬉しい限りです。
実際に訪れて感じた展覧会と作品の魅力
実際に「鹿児島睦 まいにち」展に行ってみて、その魅力を肌で感じることができました。私が鹿児島さんのことを初めて知ったのはとある陶器市だったように記憶しています。そのため陶芸家として認識していましたが、今回の展覧会を見に行って様々な活動をされているアーティストとしての顔も知ることができました。

会場内でまず目にしたのは「あさごはん」のコーナーで飾られた黄色い器の器たちでした。やさしい色合いの黄色い器は大皿なものが多く、「このお皿にはどんな料理が似合うだろう」と想像を膨らませながら見ていました。鹿児島さんらしい植物のイラストが素敵でした。

続いて、「さんぽ」のコーナー。鹿児島さんデザインのテキスタイルを使ったワンピースや、お菓子のパッケージデザインなどが並んでいました。福岡の和菓子といえば老舗の「鈴懸」ですが、その鈴懸のパッケージと紙袋がデザインされていました。鹿児島さんは鈴懸と定期的にコラボレーションをしているそうで、次回のパッケージも楽しみです。
描かれている動物の表情や動きが豊か

会場を進んで、「ひるごはん」へ。こちらは賑やかなランチタイムをイメージした、器が並んでいます。青、ピンク、緑、黒などの色の器で、「あさごはん」よりも動物が多く陽気な雰囲気が漂っていました。

鹿児島さんが描く動物たちは表情や動きが豊かで、いきいきしているように感じます。それぞれの動物がかわいく、器がほしくなってしまいます。
梨木香歩さんの物語が器に新しい世界観に触れる

この展覧会のなかで「特によかった」と思ったのが、「おひるごはん」のあとに続いていた、梨木香歩さんとのコラボレーション企画でした。

『西の魔女が死んだ』などが代表作である梨木さんが、この展覧会のために書き下ろした物語は、鹿児島さんの器の世界観とぴったりでした。というより、梨木さんの物語を通して、鹿児島さんの器をみるとそこは幻想的な世界で、「こんな世界観もあったのか」と驚いた、というほうが近いかもしれません。自分の心の中に、言葉に表しにくい静かな感動がありました。
柔らかい色合いとポップな配色

その後は「ごきげんよう」のコーナーとして、ティーカップやお菓子の缶を手がけた作品、海外のメーカーなどと作った人形などが展示されていました。その活動の場は幅広く、どれも鹿児島さんらしい作品たちでした。

そして、「ばんごはん」の展示へと移ります。「あさごはん」「ひるごはん」と同じく器が並びますが、ここでは夜をイメージし、黒をベースにした落ち着きのある器が並びます。といっても、鹿児島さんの器は、その柔らかい色合いと鮮やかな配色が魅力です。黒を基調にしていても、その器の色は視覚的に楽しませてくれました。

鹿児島さんの器は植物をモチーフにしているところ、そしてその色合いがポップだけど優しい印象を受けるところが好きなポイントです。「まよなか」の展示では、器を立てて展示してくれていたので、よく見ることができました。
鹿児島睦さんの日常とは

展示の最後は「鹿児島睦のまいにち」という展示でした。鹿児島さんが普段どんな風に作品作りをしているのが動画などで紹介されていたり、鹿児島さんの所持品で気に入っているもの、思い出のあるものなどが展示されていました。この展示も面白く、「こういうのが好きだから、こういう作風なのかも」と勝手な想像もできて楽しかったです。

また、私物の展示には鹿児島さんのコメントも合わせて紹介されているのですが、それを読んでいるのも面白かったです。
他にも、技法の紹介がされていたり、見どころは沢山ありました。全部紹介しきれませんでしたが、今後はどこで巡回展があるかは分かりせんが、「行ってみたいな」と思っている方の参考になれば嬉しいです。
展覧会の余韻にひたる、鹿児島睦さんの関連書籍
鹿児島睦さんの関連書籍もいくつかあるのでご紹介します。鹿児島さんの作品についてもっと深く知りたい方には、ぜひ手に取ってみてください。
『鹿児島睦 まいにち』
こちらはこの展覧会「鹿児島睦 まいにち」展の公式図録です。ページをぱらぱらとめくるだけでワクワクするような作品集となっているそうで、インタビューも収録されているようです。
『蛇の棲む水たまり』鹿児島 睦、梨木 香歩
今回の展覧会で展示されていた、梨木さんの物語が読めます。梨木さんは色や形のさまざまな器に草花に馬や象、蛇などの生き物が描かれた作品を1枚ずつ、何度も繰り返し見ながら物語を紡いだそうです。梨木さんの物語を受け取った鹿児島睦さんは、何度も読んで反芻し、ラストシーンに新しい1枚を制作したそう。
『鹿児島睦の器の本』
2017年に出版された鹿児島睦さんの初めての作品集。世界各地、20人のコレクターが所有する器が公開されていて、その収録数は約260点にものぼります。
これらの書籍は、展覧会のミュージアムショップでも販売されていました。
まいにち展で日常に彩りを加えよう
福岡県立美術館で開催されている「鹿児島睦 まいにち」展は、日常に小さな彩りが加わるような展覧会でした。仕事や家事で忙しい毎日の中、鹿児島さんの作品を目にすることで、癒しの時間を過ごせるのではないでしょうか。福岡の巡回展は終わってしまいましたが、ぜひ皆さんも機会があれば足を運んでみてくださいね。
